約 35,695 件
https://w.atwiki.jp/cspopn/pages/42.html
対戦モード CS12からの新機能、対戦モードの説明いろいろ。 ジョウ・ホウ・リョウが多いので隔離しました。 概要 基本的にはACのNET対戦モードと変わらないようです。 相手2人との対戦で、自分の選んだ1曲と 相手の選んだ曲1曲ずつの3曲をクール判定のスコアで争います。 また、「お邪魔バトル」ではプレイ中、右下のお邪魔ゲージが溜まっていくと、 相手の顔アイコンが譜面上に現れます。 これを叩くと、その相手に事前に選んだお邪魔を送る事が出来ます。 お邪魔については下記参照。 CS版での変更点として、AC版ではAC20になるまで実装されなかった 「オジャマバトル」「ガチバトル」の選択制が導入されています。 こちらについてはオジャマバトル=「3人全員オジャマ装備」、ガチバトル=「3人全員オジャマなし」となり、 AC版のようなあり・なし入り乱れての対戦は発生しません。 また、オジャマバトルを選ぶ場合は最低でも1つはオジャマを装備することが条件となり、 全て「なし」にして対戦開始した場合は強制的にガチバトルになります。 オジャマバトル選択時では、稀に強制的にガチバトルにしてくるキャラクターも存在。 主に設定上不思議な要素を持ったキャラクター(本作ではトラン、おんなのこが該当)がこれに当たる。 キャラクターの所属部屋はキャラごとに固定だが、所属部屋の降格・昇格の再現か、まれにプレイヤーの所属する部屋のひとつ上、ひとつ下のキャラクターが出現する場合あり。上下の部屋から流れてきたキャラについては対戦開始前画面のステータス欄における所属部屋称号が出現した部屋の名前に変わるため一眼では判別できない(*1)。 出現範囲は必ず所属部屋±1まで(神部屋のキャラクターが中堅以下の部屋に、とか、小学生部屋のキャラが神部屋に上がってくるみたいなことはおきない) 例外として、最下層のにゃんこ部屋に対してはひとつ上とふたつ上の部屋(小学生・番長)のキャラが、最上層の神部屋に対してはひとつ下と二つ下の部屋(将軍・仙人)のキャラが越境してくる。 同一キャラのバージョン違いが複数存在するキャラ(*2)は全員が別キャラクターとして扱われ、各々の所属部屋(±1部屋)の範囲内でマッチングする。マッチング状況次第では同一キャラの異なる版権バージョンが同時に対戦相手として現れることもある他、使用キャラの色違いとマッチングすることもある。 対戦キャラ出現部屋一覧 「NET対戦」ではなく「対戦」なので敵は全員CPU。 ※称号部分はおそらくランダムなので省略 にゃんこ(Lv1~15) キャラ Lv1オジャマ Lv2オジャマ Lv3オジャマ ベリー しろポップ君 HIDDEN なし メル 爆走(SPIRAL) カエルポップ君 なし 千鶴 ファットポップ君 なし GOODがBADに 桔梗 ロスト HIDDEN なし ヒポポ&タマヨ ? ? ? めばえ ビートポップ君 カエルポップ君 なし パル 爆走(SNAKE) なし GOODがBADに プリティ HELL なし バラバラポップ君 ししゃも しろポップ君 HIDDEN なし ミミ(クリィミー) ミニポップ君 カエルポップ君 なし ニャミ(クレしん) ミニポップ君 カエルポップ君 なし みやびさん ロスト HIDDEN なし 小学生(Lv16~19) キャラ Lv1オジャマ Lv2オジャマ Lv3オジャマ 花緒 ? ? ? ドミー&ソラー 爆走(SPIRAL) HIDDEN なし ベリー ファットポップ君 なし GOODがBADに メル 爆走(SPIRAL) カエルポップ君 なし ナズナ&スズナ ? ? ? 千鶴 ファットポップ君 なし GOODがBADに 泳人 HELL カエルポップ君 爆走(CIRCLE) 桔梗 ロスト カエルポップ君 爆走(CIRCLE) パティ ロスト カエルポップ君 爆走(CIRCLE) ヒポポ&タマヨ ? ? ? プリティ ? ? ? ししゃも しろポップ君 HIDDEN なし でんがなマンガナ 爆走(SNAKE) HIDDEN 爆走(CIRCLE) ワルドック ビートポップ君 カエルポップ君 バラバラポップ君 ピルティ しろポップ君 HIDDEN なし みやびさん ? ? ? キャプテン(Lv20~23) キャラ Lv1オジャマ Lv2オジャマ Lv3オジャマ スミ子(*3) ? ? ? マモル君 ? ? ? ハジメ ? ? ? 泳人 HELL カエルポップ君 爆走(CIRCLE) ミミ(エヴァ) ? ? ? ニャミ(ドラゴンボール) ? ? ? ニャミ(クレしん) ? ? ? タマコ ? ? ? でんがなマンガナ ? ? ? ワルドック ? ? ? ピルティ ファットポップ君 カエルポップ君 GOODがBADに 番長(Lv24~27) キャラ Lv1オジャマ Lv2オジャマ Lv3オジャマ ミミ ファットポップ君 キャラポップ君 バラバラスピード パティ ? ? ? マコト ジャム攻撃(足) カエルポップ君 色々爆走ガエル ミミ(エヴァ) ? ? ? ニャミ(ドラゴンボール) ? ? ? タマコ ジャム攻撃(足) キャラクターポップ君 バラバラポップ君 ワルドック ? ? ? ピルティ ? ? ? 刑事(Lv28~31) キャラ Lv1オジャマ Lv2オジャマ Lv3オジャマ スミ子 ? ? ? ゴエモン ? ? ? 若さん ? ? ? おしゃれずきん ? ? ? アヤ ふわふわ判定ライン 強制Low-SPEED 爆走(CIRCLE) ショルキー(Jソウル) ? ? ? スマイル ? ? ? ジャン ダンス 色々ポップ君 爆走(Circle) YANARY ダンス カエルポップ君 縦分身 みここ 地震 HIDDEN 色々爆走ガエル アイドル(Lv32~35) キャラ Lv1オジャマ Lv2オジャマ Lv3オジャマ マコト ? ? ? 最上サスガ ? ? ? ゴエモン 地震 HIDDEN 色々爆走ガエル 若さん ? ? ? おしゃれずきん ? ? ? サラサ ロスト 縦分身 上下さかさま アヤ ? ? ? そばっこ ロスト 縦分身 上下さかさま ポエット ダンス 色々ポップ君 GOODがBADに キャンディ ? ? ? ムラサキ 爆走(SNAKE) ジャム攻撃(手) 上下さかさま 大関(Lv36~39) キャラ Lv1オジャマ Lv2オジャマ Lv3オジャマ ナイスガイ人 ? ? ? サラサ ? ? ? ショルキー(Jソウル) ジャム攻撃(足) ポップ君の嵐 爆走(Circle) ミルク(にょろロック) 地震 キャラクターポップ君 バラバラスピード ダース・淀 ? ? ? ミミ(バブルバスガール) 爆走(SPIRAL) 強制Low-SPEED 横分身 ムラサキ ? ? ? ポエット ? ? ? キング しろポップ君 ポップ君の嵐 GOODがBADに 深川ふなお ? ? ? みここ ? ? ? 将軍(Lv40~41) キャラ Lv1オジャマ Lv2オジャマ Lv3オジャマ タンタン ジャム攻撃(足) HIDDEN バラバラスピード ヨン ? ? ? ウサオくん ロスト ポップ君の嵐 横分身 まごじろう ロスト ポップ君の嵐 横分身 ミルク(にょろロック) ? ? ? ダース・淀 ? ? ? ミミ(キミョウ) ? ? ? 六(ヒップロック) ? ? ? キング 地震 色々ポップ君 GOODがBADに オリビア ? ? ? 仙人(Lv42~43) キャラ Lv1オジャマ Lv2オジャマ Lv3オジャマ タンタン ふわふわ判定ライン 強制Low-SPEED 横分身 フロウフロウ ? ? ? ウサオくん ロスト ポップ君の嵐 横分身 まごじろう ? ? ? ミルク(にょろロック) ? ? ? ミミ(キミョウ) ふわふわ判定ライン 強制Low-SPEED 上下さかさま 一京 ? ? ? ビックバイパー ? ? ? ロード ? ? ? リデル ? ? ? ハマノフ ふわふわ判定ライン ジャム攻撃(手) 横分身 神(Lv44~∞) キャラ Lv1オジャマ Lv2オジャマ Lv3オジャマ フロウフロウ 地震 キャラクターポップ君 上下さかさま ジャスティス ? ? ? 一京 ? ? ? ビックバイパー ? ? ? ロード ? ? ? リデル ダンス ポップ君の嵐 色々爆走ガエル DJ雷神 地震 縦分身 横分身 イマ 地震 色々ポップ君 GOODがBADに 内田一門 ジャム攻撃(足) ジャム攻撃(手) バラバラスピード まごじろう ? ? ? 文彦さん ? ? ? オジャマ Lv1 オジャマ 出現条件 ミニポップ君 最初から選択可 ビートポップ君 3曲ともオプションビートポップで総合1位 ファットポップ君 最初から選択可 爆走(SNAKE) 1回対戦(初戦終了後にもらえる) HELL 3回対戦 しろポップ君 7回対戦 爆走(SPIRAL) 最初から選択可 ロスト 総合1位3回 ダンス 3曲ともコンボ賞を取って、かつ3曲の合計点数300000点以上 ふわふわ判定ライン 最初から選択可 ジャム攻撃(足) 総合1位を取る 地震 5都道府県制覇 Lv2 オジャマ 出現条件 カエルポップ君 最初から選択可 キャラクターポップ君 3曲ともオプションキャラポップで総合1位 HIDDEN 最初から選択可 道連れ 5試合連続で2位以上 ランダム 50試合達成 縦分身 2回対戦 ジャム攻撃(手) 5回対戦 もっとHELL HELLをつけて総合1位 色々ポップ君 オジャマにLv1ビートポップ君+Lv2キャラクターポップ君+Lv3バラバラポップ君を装備して総合1位 強制Low-SPEED 曲別3位を取りつつ総合1位 ポップ君の嵐 10回対戦 SUDDEN 総合1位10回 Lv3 オジャマ 出現条件 爆走(CIRCLE) 最初から選択可 バラバラポップ君 最初から選択可 GOODがBADに 最初から選択可 色々爆走ガエル オジャマにLv1爆走(SNAKEorSPIRAL)+Lv2カエルポップ+Lv3爆走(CIRCLE)を装備して総合1位 横分身 ガチバトルで総合1位 上下さかさま 総合1位15回 バラバラスピード 総合1位5回 リフレクション リフレクション・なぞ色・EXCITE+爆走以外の全オジャマを取得した状態で総合一位 EXCITE 総合1位20回 HIDDEN+SUDDEN 総合1位50回 EXCITE+爆走 5連続で総合1位 なぞ色 全国制覇
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2111.html
ウサギのナミダ ACT 1-4 □ 「えっ!? それじゃあ、あの時、最初から副腕の破壊を狙っていたの?」 「ああ、最初の一撃で、傷ついたのが分かっていたからね」 俺の言葉に、腕を組んで考え込む久住さん。 ここは駅前のミスタードーナッツ。 先ほどバトルした、イーダ・タイプのミスティのオーナーである久住菜々子さんと、差し向かいで話をしている。 話の内容は、先ほどのバトルの内容。さしずめ将棋の感想戦といったところだ。 「でも、それだけで破壊されるほどヤワじゃないと思うんだけど……いくら、イーダのエアロチャクラムの腕が華奢でも」 「その前に、随分振り回して、ビルの壁とかも削っていたよね。それで負荷がかかっていることは考慮に入れてた」 「てことはまさか……路地でバトルが展開したのもわざと?」 「まあ、そうかな……ティアが得意なフィールドということもあったけど、左のエアロチャクラムを振るわせるのが目的だった」 バトルの後、お互いの健闘をたたえ、挨拶を交わしたのだが、その後で対戦希望者や観戦していた他の神姫マスターに取り囲まれて、ゆっくり話をする状態じゃなくなった。 仕方がないので、隙を見て二人で逃げ出してきた、というわけだ。 お茶をしながらゆっくり話そう、と誘ってきたのは久住さんの方だった。 俺は、コーヒーおかわり自由で長居ができ、甘いものも食べられるミスタードーナッツに案内した。 彼女も甘いものが好きらしく、この選択には大いに喜んでくれた。 「エアロ・チャクラムはストラーフの副腕パーツのチーグルに比べると腕部が華奢だし、バランスが取れていない。それを無理矢理独立可動させるから、絶対に腕部に負荷がかかると思っていた」 「私たちが二度目にストリートで待っているときに、正面から狙ってきたのは、副腕を直接攻撃するためだったのね」 「そう。背後からだと、間違いなくあの大技が来ると思っていたし、それを封じて、出される前に破壊するには正面から行くしかなかった」 「あのブラスター三連射は見事だったわ」 ■ マスター達が話をしているテーブルの上で、わたしは緊張していた。 わたしの前には、すっかりくつろいだ様子のミスティさんが微笑んでいる。 バトルした相手の神姫と差し向かいになるなんて、これが初めてだった。 「ねぇ、ティア」 「は、はい、ミスティさん……」 小さな声でわたしが答えると、ミスティさんはわたしに近づいてきた。 そして、力強くわたしの背中を叩く。 「わっ!」 「やあねぇ、何をそんなに緊張してるのよぅ!」 「だ、だって、あの……」 「あなたには参ったわ。わたしの完敗ね」 ものすごくあっさりと、自分の負けを認めた。 ミスティさんはにこにこ笑っている。 「そんな……怒ってないですか?」 「怒るも何も、自分が全力を出して負けたんだったら、相手をほめるしかないでしょう?」 「そ、そう……なんですか?」 「そうなのよ」 ミスティさんはにっこりと笑って頷いた。 わたしもつられて笑ったが、かなりぎこちなかった。 「わたしは、あなたみたいな戦い方が好きよ。 自分の戦闘スタイルで、武装に頼らずに技で勝負する。 あなたがどれだけ頑張ってきたか、機動一つ、攻撃一つ取ってみても分かるわ」 「そ、そんな……」 「特に、そうね。わたしのエアロチャクラムを砕いたブラスターの三連射。 あの速度で後進しながら、回転して三連射なんて、信じられないわ。 どうやってるの? 何かの戦闘用機動プログラム?」 「あ、あれは……」 □ 「あれはティアの技……言ってみればアドリブだよ。決められたプログラムじゃない」 「……って、あれだけの動きを、神姫が独自判断で行っているの!?」 「そうだけど……そんなに驚くことかな」 ティアの戦闘用プログラムは、そのほとんどを両脚の機動とバランス制御に使用している。 そして、ティア自身の日々の修練による蓄積データにメモリを費やしている。 そのため、地上での機動における戦闘行動は、かなり自由度が高い。 話題に上ったブラスター三連射は、フィギュアスケートのスピンを基本にしている。 スピンしながら、回転と同じ方向にブラスターの反動を逃がし、スピンに加速をつけている。 射撃の方向とタイミングは神姫任せだが、神姫であればそのくらいの計算は行える。 つまりは、スケートの技と、射撃をその場で組み合わせているのだ。 「ほとんど曲芸に見えたわ……神姫があんな動きができるなんて思わなかった」 「まあ、それがティア最大の武器だから」 「その後すぐ、ブラスターを捨てたでしょう。どうして? まだ残弾あったはずなのに」 「ミスティを変形させるためだ」 「……変形……って、それも副腕を壊すため?」 「そうだよ。あの変形パターンだと、副腕に相当の負荷がかかるから」 つまりは誘いだ。 ブラスターを捨てることで、ミスティは隙と見て、変形してくるだろう。 その時に、エアロ・チャクラムのサスペンションを最大に利用して、ミスティは上体を跳ね上げる。 高速で疾走していた身体にブレーキをかけ、その力を反発させて立ち上がるのだ。エアロ・チャクラムには最大の負荷がかかるはずだった。 「はあ~……そこまで読まれていたなんて……ね」 久住さんは上を向いて息をついた。 こうしたバトル中の読みは、どのマスターも行っていると思っていたが、実はそうでもないらしい。 久住さんは、もっと直感的にバトルを進めているという。 神姫の戦闘スタイルと同様、マスターにも得意のスタイルがあるらしい。 久住さんとミスティは、感性でバトルをするタイプのようだ。 奇襲やトリックプレイが多いが、それは細かな状況分析に裏打ちされたものではなく、勘に頼っているとのことだった。 それで名の知れた神姫プレイヤーなのだから、女の勘は侮れない、ということだろうか。 久住さんの質問は途切れることなく続く。 「それじゃあ、ミスティがストラーフの戦闘スタイルだって気がついたのはいつ?」 「最初の一撃……リバーサル・スクラッチだったっけ……それをかわした後」 「そんなに早く!?」 「ティアが、副腕が独立で動いてた、と報告してきたから。それならストラーフと同様の装備と見るのが妥当だし」 「そうか……だからティアの動きに迷いがなかったのね……」 ミスティがストラーフの戦闘スタイルを持っていることをバトル中に気がつかれたのは、とても稀だそうだ。 大抵の対戦者は、リバーサル・スクラッチの初撃で大ダメージを被り、焦っている間に変形後のミスティにとどめを刺される。 それがミスティの必勝パターンだ。 なので、ミスティの変形後と五体満足で戦った神姫自体が少ないのだ。 つまり、ミスティは短期決戦型の神姫であるということもできる。 俺達にとって運が良かったのは、ティアがその初撃を完全にかわしたことだ。 それによって、冷静にミスティの戦闘スタイルを見極めることができたし、長期戦にも持ち込めた。 だが、ミスティが長期戦に弱い神姫ということでは決してない。 ■ 「そうです。ストラーフ・タイプとも何度か戦ったことありますけど……ミスティさんが一番手強かったです」 「まあ、そんなこと……あるけど」 ミスティさんは謙遜もせず、そう言って笑う。 おそらく、ミスティさんであれば、通常のストラーフ装備で戦っても相当に強い、とわたしは思う。 廃墟ステージでの三次元機動は、相当に熟練したストラーフでもその域に達するかどうか。 「わたしの戦闘スタイルは、ストラーフの戦闘データを元に構築されてるの。元のストラーフは経験豊富で相当強かったから、わたしがストラーフ形態の時に強いのはそのせいね」 「元のストラーフ……?」 「そうよ」 ミスティさんは右手を胸に当てて、言った。 「わたしの中には、もう一人のミスティがいるの」 □ 「つまり、いまのミスティは二代目なんです」 「初代ミスティのデータを流用しているわけか」 初代のミスティはストラーフで、それが久住さんの最初の神姫だったという。 「その初代を手にしたのはいつ頃?」 「五年くらい前……かなぁ」 「……それじゃあ、久住さんの神姫マスター歴は結構長いんだ」 「うん、歴だけは、ね」 久住さんは困ったように微笑んだ。 歴だけは長い、というが、それは謙遜と言うものだろう。 現ミスティを見れば、元のミスティがかなりの強者であったことは容易に想像がつく。 三年から四年の戦闘データの蓄積は、簡単に手に入るものではない。 もちろん、マスターとしての経験も。 それらすべてがイーダのミスティに受け継がれ、さらに独自の戦術も編み出しているのだ。 「強いわけだ……」 思考の中で出した結論に納得して、思わずつぶやく。 「それ、皮肉ですか」 ちょっと身を乗り出した久住さんが、ちょっと恐い顔をして、上目遣いに俺を睨む。 「あ、いや……」 俺は思わず焦って、言葉を探してしまう。 確かに、さきほどバトルに勝った俺が言う言葉じゃなかったかもしれない。 「その……ごめん、気を悪くしたかな……」 頭をかきながら、しどろもどろになっている俺を見て、久住さんはくすっと笑った。 「冗談です」 なんだよ。 女の子にこんな風に睨まれるのも、からかわれるのも初めての経験で、思わず安心して、身体の力が抜けた。 「ごめんなさい。ちょっと反撃したくなっちゃって」 「なら、作戦は成功だ。焦ったよ」 久住さんはにこやかに笑う。 彼女の笑顔はとても素敵だった。 俺がつられて思わず笑ってしまうほどに。 やっぱり反則だと思う。 ■ 「どうしたの? マスターが気にかかる?」 ミスティさんに声をかけられ、思わず振り向く。 「あ、その……はい」 わたしの答えに、ミスティさんは頷いて微笑む。 「あなたのマスター、かっこいいもんね」 そうなのだろうか。 確かに、端正な顔だと思うけれど。 わたしが気にしているのはそうではなくて……。 「その……マスターがあんなふうに笑うところ、はじめて見たので……」 マスターは、久住さんと話をしながら、笑顔をはじけさせていた。 わたしの前では決して見せない、感情にあふれた顔。 久住さんは……ミスティのマスターは、何を話して、わたしのマスターを笑顔にさせるのだろう。 それが分かれば、わたしもマスターに笑顔をあげることができるだろうか。 「そうなの? あなたのマスターは、いつもどんな顔してるの」 「ええと……あんまり、表情を見せないというか……」 「なにそれ」 ミスティさんも、わたしのマスターを見上げた。 マスターは、久住さんの言葉に頷きながら微笑んで、カップに口を付けるところだった。 「にわかに信じがたいわね……」 ミスティさんにそう言わせるほど、今日のマスターは表情豊かだった。 いつもわたしが見ている冷たさはほとんど感じられない。 話し方はいつものように控えめで理知的だけれど、すごく楽しそうだ。 そんな様子のマスターを見て、わたしは疑念を抱く。 マスターがいつも冷たい表情なのは、わたしのせいなのではないか。 わたしを見るたびに、望まぬ神姫を、面倒な神姫を手にしたと、そう思っているのではないか……。 今のマスターを見ると、どうしてもそういう思いに捕らわれてしまう。 □ 久住さんとの話は多岐に渡った。 もっぱら神姫関連の話だったが、お互いに話題が尽きることはなかった。 好きな神姫のタイプや、新製品の話題、今までのバトルでの出来事……。 久住さんは話し上手で、会話をリードするのはもっぱら彼女だった。 俺は受け答えをするばかりだったが、彼女の会話のペースに引き込まれ、時間が経つのを忘れてしまうほどだった。 楽しくも刺激的な時間が過ぎ去り、気がつけばとっぷりと日が暮れてしまっていた。 「今日は付き合ってくれて、ありがとうございました。とっても楽しかったです」 「こちらこそ。暗くなるまで引き留めてしまって、申し訳ない」 お互いに、今日の締めくくりの言葉を交わす。 しかし、立ち去りがたい。 今日は本当に楽しかった。まだ久住さんと話してみたいことがたくさんある。 かつて、女性とこんなにたくさん話したことはないというのに。 彼女ともう一度会いたい。そんな気持ちが抑えられないほどにあふれてきている自分に驚いた。 だが、そんな気持ちを気の利く言葉で表す術など持ち合わせてはいない。 しかも、今日初対面の女性に、そんな不躾なことを言えるはずもない。 しばらくの沈黙。 「……あのゲーセンにはよく通ってるんですよね?」 久住さんがそんな風に声をかけてきた。 「あ、ああ……土日には、大抵……」 「それじゃあ、また明日会えますね」 「また明日も来るのかい?」 「ええ。だってあそこでは、まだティアとしか戦っていないもの」 俺は今更ながらに気がついた。 彼女と会うのは難しいことじゃない。 俺達は武装神姫のプレイヤーという共通点があるのだから。 「……また、俺達と戦ってくれるかな」 「もちろんです」 やっぱり、久住さんの笑顔は反則だと思う。 彼女の笑顔は、俺の心に滑り込むように、自然に入ってくる。 だから、俺も思わず笑顔を浮かべてしまうのだ。 また明日会う約束をして、俺は久住さんと別れた。 ◆ 「ミスティ、しばらく、こっちのゲームセンターに通うからね」 「かまわないけど……そんなに気に入った?」 「別にゲーセンが気に入った訳じゃないわ。さっきも言ったでしょ。まだあそこではティアとしか対戦してないんだから……」 「ちがうわよ。ティアのマスター、そんなに気に入ったの?」 「って、ちょ……何言ってんの、ミスティ!」 「隠しても無駄。あんなに楽しそうに男の人と話すの、初めて見たもの」 「うっ……ま、まあ……ね……すごく話が合うっていうか、なんというか……」 「ナナコが口ごもるなんて、珍しい」 「うるさいわね! ……でも、あんなに楽しく話できた人は初めてだったな」 「で、またティアのマスターとお話したいわけね」 「そ、そおよ……悪い?」 「……いいわ。協力してあげる。わたしもティアと戦うのは楽しみだし」 相手の遠野も、菜々子を憎からず思っていそうだ、というティアからの情報は、あえて言わないでおく。 ミスティは自分のマスターに対してそんなに甘くはないのだった。 □ 翌日の日曜日。 俺はいつものようにティアを散歩に連れ出した後、いつものように行きつけのゲームセンターに向かった。 店に入ると真っ先に、大城ががっくりとうなだれている姿が目に付いた。 「よお、大城。何があったんだ?」 珍しく俺の方から声をかけてみると、大城は無言で神姫の筐体の方を指さした。 ギャラリーで人だかりができている。 比較的早い時間帯だというのに、珍しいことだった。 人だかりが、わっとという歓声に沸いた。 観戦用の大型モニターに、今のバトルが映し出されている。 振り上げられた緑色の大型の機械腕が、相手の飛鳥・タイプの羽をもぎとるところだった。 その一撃で勝負は決まっていた。 飛鳥・タイプはもう戦う気力もなくし、逃げる術も失っていた。 「ミスティか……」 勝敗は決した。五八秒。秒殺である。 「しかも、これで八連勝か……」 ティアが「うわぁ……」と感嘆の声を上げている。 改めて、エトランゼの異名が伊達ではないことを知った。 「しかも、ほとんど三分以内だ……」 大城が力なく言う。 「おまえ達も戦ったのか?」 大城は頷いた。 だが負けたようだ。よほどこっぴどくやられたらしい。 虎実はよほどショックな負け方だったのか、真っ白に放心したまま、視線を宙にさまよわせている。 「だが、おまえは昨日の戦いを見ていただろう。初撃を避ければなんとかなりそうじゃないか?」 「その初撃が避けられないんだよっ」 「は?」 ミスティの初撃……リバーサル・スクラッチをはずそうと、みんな様々な手段を使ったが、ことごとく失敗に終わったらしい。 確かに、リバーサル・スクラッチは、久住さんの女の勘によって絶妙のタイミングで繰り出されるので、回避は至難の技である。 だが、来ることが分かっているのなら、対処のしようもあるというものだが……。 「ティアの時に使ったのは、あの技の一つでしかないんだ」 「……バリエーションがあるってことか?」 大城の言葉は予想の範疇である。 エアロ・チャクラムを横向きで振るうのだってバリエーションの一つだ。 「使い分けてるんだよ、たくさんの反転技を。それだからタイミングを読み切れない。 ……ほんと、ティアはよくかわしたよな」 「虎実の時はどんなだったんだ」 「……それが……」 虎実は、こともあろうに、巡航するミスティに対して真っ正面から挑んだらしい。 確かにそれなら、ミスティはリバーサル・スクラッチを出せないだろう。 だが。 「ていうか、バカか? 真っ正面からなら、ストラーフ形態でやりたい放題だろうに」 「だって、おまえ達が真っ正面から攻めて、勝ったから……」 実際、一瞬にしてストラーフ形態になったミスティに飛びかかられて、あっと言う間に勝負は決まったらしい。 開始二三秒は、本日最短の試合だった。 大城のことだから、意気込んで勝負に望んだのだろうが、空回りだったようだ。 「ああ……勝てれば菜々子ちゃんとデートだったのに……」 ……なんだそれは。 俺は久住さんの方に視線を向ける。 今また一人、挑戦者が久住さんと話している。 「じゃあ、俺が勝ったら、お茶してくれよな」 「ええ、勝てたら、ね」 久住さんは笑って言うが、目が笑っていなかった。 負けるつもりはさらさらないらしい。 そうでなければ困るわけだが、いや、心配するところはそこじゃない。 もし負けてデートでもするようなことになったらどうするつもりなんだ、彼女は。 というか、なんで俺は久住さんの心配をしているんだろう。 バトルが始まった。 ステージは都市ステージのハイウェイ。 昨日のティア戦よりも高速で巡航するミスティ。 追うのは、アーク・タイプの神姫だ。 アークはハイスピードをうたうだけあって、みるみるうちに差を詰めてくる。 初撃はアークだった。 フロントのレーザー砲を放つ。 前方を走るミスティをかすめ、ハイウェイの先にビームが伸びて消える。 その瞬間。 ミスティは、左の前輪を軸にして急ターンした。 身体を傾け、後輪をスライドさせて、一八○度旋回。 アークと向き合った瞬間、大型の脚部を接地させ、そのまま前に飛び出した。 高速で迫るアーク・タイプ。 二体の神姫は高速で飛び違った。 瞬間、破砕音とともに、勝敗は決した。 すれ違いざまにミスティが振るったエアロ・チャクラムが、アークの本体を見事に捕らえ、破壊したのだった。 「なるほど、振り向き方も変えているのか」 振り向き方、攻撃のタイミング、方向などを様々に組み合わせ、変化させて初撃の命中率を上げているのだ。 つまり、リバーサル・スクラッチには無限のバリエーションがある。 勘に頼っている、なんて久住さんは言っていたが、なかなかの戦術に裏打ちされた攻撃だったのだ。 これで九連勝。 効果のほどは勝利数が物語っている。 俺はうなだれる対戦者とすれ違い、久住さんに声をかけた。 「こんにちは、久住さん。調子良さそうじゃない」 「こんにちは、遠野さん。まあまあ、かな?」 そう言って、久住さんは、相変わらずの反則な笑顔を見せた。 思わずつられて微笑みそうになりながら、それでも気を引き締めて、胸元のティアに声をかける。 「ティア、行けるか?」 「はい……マスターが、戦いたいというのなら」 俺は再び久住さんと視線を合わせる。 「それじゃあ、今度は俺達とバトルしないか?」 「もちろん、OKです」 「俺達が勝ったら、昨日のミスタードーナッツでお茶でも?」 先ほどの対戦者の要求を真似て、ちょっと当てつけのように言ってみた。 「いいですよ」 久住さんはにっこり笑って答え、さらにこう付け加えた。 「それじゃあ、わたしたちが勝ったら、ミスタードーナッツでお茶、というのはどうですか?」 俺は苦笑する。 答えはもちろん、OKだった。 次へ> トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/siika/pages/287.html
現在NACよりNW全体規模での食料危機対策が発表されております。 食料危機対策:http //death.aikotoba.jp/kikitaisaku/index.html 上記の対策を実行するための資金においては、宰相府・大統領府共同で捻出していただく事となっております。 詩歌藩国はこの食料危機対策に同調し、実行する事を宣言します。 NAC関係者、宰相府、大統領府、この政策に協力してくださる方々に深く感謝を申し上げます。 また、詩歌藩国の食糧生産補助として国のアイドレス工場で農業用I=Dブルルを8機生産し、食糧増産に役立てる方向です。 竜宮・司・ヒメリアス・ドラグゥーン
https://w.atwiki.jp/yonta2/pages/163.html
わん太(ACE) L:わん太 = { t:名称 = わん太(ACE) t:要点 = 犬耳,半ズボン,黒い鼻 t:周辺環境 = ひまわり畑 t:評価 = 全能力16 t:特殊 = { *わん太のACEカテゴリ = ,,逗留ACE。 *わん太のみなし職業 = ,,{<犬>,<犬妖精2>,<犬の決戦存在>}。 } t:→次のアイドレス = ラリ(ACE),アテナンタ・バルキリー・G氏族(ACE),アイアン・ジョー(ACE),犬(職業),犬の決戦存在(職業),ダン・ハウンド(ACE) } #全国プロモーション参加によりみなし職業「犬妖精」が「犬妖精2」にプロモーションしています。【参加根拠】 #旧記述 イラスト イラスト: 竿崎 裕樹@よんた藩国 支那実@よんた藩国 設定 「出会いのお話」 「あ~、今日もいい天気だねえ・・・・・」 日向葵(ひゅうがあおい)のヒマワリ畑をフラフラと歩く一人の男がいる。 坊主頭で眼鏡をかけたその男、よんた藩国藩王、よんた。 今日もやっぱり書類の山から避難して国の様子をみて回っている。 本人いわく、これはサボリじゃない、実地調査だ。とのことだがとてもそうは見えない。 「今日はどこの店に喰いにいこうかなあ~」 そんなことを鼻歌まじりに呟きながら歩いていると、ひまわりの下でのびている犬の少年を見つけた。 半パンで黒鼻。その犬少年、舌をだしてきゅ~っとなっている。 とりあえず、かけよるよんた。 「お、おい、だいじょうぶ・・・か?」 少年は聞えるか聞えないかくらいの声で何かを言っている。 耳をよせてみると・・・・・・。 「はら・・・・・へった・・・・・」 「はへ?」(ああ、行き倒れか。 なにか妙な親近感を覚えたらしいよんたは、その少年を背負い近くの民家へと。 (この辺ならまあ農家も多いし、何かくわせてくれるだろう。うん。) 少し歩くと家々が見えてきた。 そのうちの一軒の玄関の前に立ち、家の奥にむかって、 「おばっ・・・・・・おね~ちゃ~ん、ちょっと腹へって目回した坊主いるんだけど~。固いのもらっていい?」 声をかける。 奥からどうぞ~との返事が返ってきたので、少年を家の外壁にもたれかけさせ、 軒先においてあるよんた饅(自家製、通称固いの。詳しい設定はよんた藩国国家事情参照)を手に取って少年の口元に近づけた。 「お~い。メシだぞ、喰えるか?」 少年はクンクン鼻をならしてそれが食べ物と理解するやいなや、ひったくるように固いのを奪取。 むさぼり喰い始める。 ガッガッガッガッガガッガ。 エライ勢いである。 かなり大きめだったそれをペロリと平らげると、 「おかわりっ!!」 「お・・・・・・・おう」 言われるままにまた持ってきて差し出す。 それもペロっと完食してまた追加。 そんなことを何度か繰り返していると、 「うぐっ!」 胸に詰まったらしくドンドンたたき出す少年。 「ああ・・・・・・。ちょっと~!おね~さ~ん!!」 玄関からあいよ~とその家の奥さんが出てきた。 手もったトレイには水とスープ。 まず水を差し出すと少年は一気に飲み干した。 「ふぅ・・・・・・」 一息ついたところで、奥さんはスープを少年にわたす。 「おなかすいてたんだってねえ。固いのだけじゃ胃に悪いだろうから、これもおあがり」 「ありがとうっ!」 少年は旨そうにスープをすすっていく。 どうやらもう大丈夫そうだ。 スープも飲み干し、一息ついたところで少年に名前なんかを聞いてみた。 少年の名はわん太。 そう、イグドラシルの導きによってこの国に来たACE。 なんでまあ、こんな出会いするかなとも思ったが、お互いそれらしい出会いであろう。 苦笑しつつも嬉しくもある。 導きに感謝を。 こうして食い意地の張った王の下に同じく食い意地のはったACEが居つくことになるのであった。 文: よんた@よんた藩国
https://w.atwiki.jp/emp3037/pages/677.html
J-507 エコーズACT1 J-507 C [[スタンド]] [[ダイヤモンドは砕けない]] ▼自分ライフを1点減らすことで、味方1人を「P+2、S+2、T+2」する。 幽○ 康一 出典:
https://w.atwiki.jp/support00/pages/620.html
名前 ・労働一号かれんちゃん(ACE) 要点 ・変な髪形・パイロットスーツ 周辺環境 ・宇宙船 評価 全能力18 特殊 *労働一号かれんちゃんは宇宙軍、名パイロット、瀧川の恋人として見なし,これらの持つ全ての特殊が使える。 *労働一号かれんちゃんは空戦の判定をするとき能力に×3.38(評価+3)する。 →次のアイドレス ・大カトー=タキガワ(ACE)?・ミハイロAK(ACE)?・綾月琴都(ACE)?・恒星間輸送艦の建造(イベント)?・ブルークリスタルオーマシンボル(アイテム)?
https://w.atwiki.jp/worlfard-wiki/pages/102.html
LV 8 風 ユニット STR 2 VIT 2 AGI 3 化身 『狩人』(・ブロックできない。)『波動 U』(・戦闘時、ユニットに与えるダメージを波動ダメージとして扱う。)『強襲 4』(・攻撃時、戦闘終了まで[STR+4]を受ける。)・ カード [E=風]を持つラインに召喚する場合、召喚コストをX点軽減する。Xは召喚するスポットのHTに等しい。・ハートからの召喚時、【他の[LV≦X]のユニット1体】をオーナーの手札に送ることができる。XはこのユニットのHTに等しい。 [部分編集] 第2章「勇敢なる者:Brave Heart」(BH)で登場した風属性のユニット。
https://w.atwiki.jp/support00/pages/514.html
名称 ・伏見藩試作機(ACE) 要点 ・デルタ翼 非人型・30m 周辺環境 ・宇宙 評価 全能力18 特殊 *伏見藩試作機は、航空機、宇宙艦船として扱う。 *伏見藩試作機は、ARは20として扱う。 →次のアイドレス 試作機の量産(イベント)
https://w.atwiki.jp/shichouseiko/pages/86.html
仮面ライダーBLACK RX 毎週日曜10 00~10 30(MBS-TBS) 視聴率はビデオリサーチ調べ(関東地区) 参考資料:月刊ニュータイプ 【表組】 # サブタイトル 放送日 視聴率 01 太陽の子だ!RX 1988/10/23 10.7% 02 光を浴びて!RX 1988/10/30 9.0% 03 RX対風の騎士 1988/11/06 6.3% 04 光の車ライドロン 1988/11/13 11.0% 05 洞窟探検の落し穴 1988/11/20 11.5% 06 怪魔ET大暴れ! 1988/11/27 12.0% 07 SOS!友情の輪 1988/12/04 12.0% 08 パパとママの秘密 1988/12/11 13.0% 09 マリバロンの妖術 1988/12/18 10.9% 10 ニセ者でドッキリ 1988/12/25 11.2% 11 スクラップの反乱 1989/01/15 10.3% 12 夢の中の暗殺者 1989/01/22 11.0% 13 狙われた怪魔少女 1989/01/29 9.1% 14 ひとみちゃん誘拐 1989/02/05 8.1% 15 ロボライダー誕生 1989/02/12 9.3% 16 奇跡の谷の姫君 1989/02/19 7.9% 17 バイオライダー! 1989/02/26 9.0% 18 怪!夢の空中遊泳 1989/03/05 10.8% 19 恐怖の人工太陽! 1989/03/12 7.3% 20 バナナを喰う鬼 1989/03/19 7.9% 21 愛と友情の戦線 1989/03/26 7.7% 22 シャドームーン! 1989/04/02 8.2% 23 ブタになったRX 1989/04/09 6.7% 24 パパはドラキュラ 1989/04/16 9.1% 25 さそり座の花嫁 1989/04/23 10.2% 26 ボスガンの反撃 1989/04/30 8.5% 27 大逆襲!影の王子 1989/05/07 11.1% 28 皇帝陛下の代理人 1989/05/14 7.1% 29 水のない世界 1989/05/21 10.0% 30 明日なき東京砂漠 1989/05/28 6.0% 31 怪魔界を見た女 1989/06/04 7.2% 32 愛と希望の大空 1989/06/11 9.5% 33 瀬戸大橋の大決戦 1989/06/18 8.8% 34 四国空母化計画 !! 1989/06/25 10.4% 35 光太郎指名手配 !! 1989/07/02 11.0% 36 ヒーローは誰だ !? 1989/07/09 8.9% 37 牙むく獣人忍者隊 1989/07/16 7.7% 38 白骨ヶ原の妖舞団 1989/07/23 8.1% 39 爆走!ミニ4WD 1989/07/30 9.9% 40 ユーレイ団地の罠 1989/08/06 10.7% 41 百目婆ァの恐怖 1989/08/13 7.4% 42 四隊長は全員追放 1989/08/20 7.9% 43 敗れたり!RX 1989/08/27 9.2% 44 戦え!全ライダー 1989/09/03 11.4% 45 偽ライダーの末路 1989/09/10 7.8% 46 ライダーの総突撃 1989/09/17 7.2% 47 輝ける明日 1989/09/24 9.5% 平均視聴率 9.3% 最高視聴率 13.0% #08…1988/12/11放送 最低視聴率 6.0% #30…1989/05/28放送 prev 仮面ライダー next 仮面ライダーBLACK 仮面ライダーBLACK RX 仮面ライダークウガ ※便宜上一覧の並び順にしているだけで前番組やシリーズのつながりとは一切関係ありません。 視聴率一覧へ戻る トップページへ戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2108.html
ウサギのナミダ ACT 1-3 □ 乾いた風が吹き抜けて、廃墟に砂塵が舞う。 その風をけちらし、砂塵をさらに巻き上げて、一台のトライクが猛然と走り抜ける。 静寂は破られ、メインストリートに一筋、砂のシュプールが描かれる。 無人の道を走り抜けるのは、イーダ・タイプの神姫・ミスティだ。 大城の聞いた噂は正しかったらしい。 確かにミスティは武装もイーダのものだった。 ミスティがただのイーダではないのは、その脚の装備にある。 通常のイーダ・タイプなら、脚はほぼノーマルで、トライク形態の時には、後輪を挟むように折り畳まれている。 しかし、ミスティの脚はばかでかい脚部パーツに換装されていた。 誰が見ても、ストラーフ・タイプの脚部強化パーツ「サバーカ」だった。 もちろん、そんな巨大な脚部を機体後部に収めることはできず、後方に伸ばしている。 観客から失笑が聞こえてくる。 ミスティの装備はお世辞にもかっこいいとは言えなかった。 あまりにも不格好で安易なパーツの組み替え。 観客が皆、失笑する気持ちも分からないではない。 隣の大城も、ご多分に漏れず、笑いを噛み殺していた。 だが。 「ティア、そのまま路地を走りつつ様子を見ろ。決して油断するな」 『は、はい!』 「おいおい、遠野。なに臆病風に吹かれてるんだよ。あんな程度の武装なら、楽勝じゃないか」 大城は笑いながら俺に言う。 しかし、俺はどうしても、笑う気分になれなかった。 こんな安易な組み替えのイーダ・タイプが、有名プレイヤーだというのなら……何かあると考えない方がおかしいではないか。 俺は筐体の向こうにいる少女を見る。 ミスティのマスター。 彼女は今、観客たちの失笑など気にもとめずに受け流し、不敵な笑みを浮かべながらフィールドを見ている。 絶対に何かある。 だが、ミスティはひたすらにメインストリートを走り回るだけだ。 あんなに派手に自分の居所を晒して、しかも一直線に走っているだけなら、やることは一つしかない。 こちらから仕掛ける。 しかし、この当たり前の行動に、俺は抵抗を覚えた。 この状況は相手の思惑通りではないのか。いや、おそらくそうだ。 ミスティは、明らかに誘っている。 しかし、なにもしないのでは埒があかない。 ならば、セオリー通りに攻めるのみ。 「仕掛けるぞ。路地を出て、ミスティの右後方から追撃。射程範囲に入ったら、迷わず撃て」 『はい!』 高い返事とともに、ティアがメインストリートに躍り出る。 両手を大きく振り、スピードスケートの選手のように疾駆する。 みるみるとミスティとの距離は詰まってきた。 ミスティの速度は変わらない。 ティアは手持ちのサブマシンガンを準備する。 射程距離に入る。 その瞬間。 ミスティが急ブレーキをかけ、フロントが沈み込んだ。 サスペンションが限界まで沈み、その反発力でミスティの上体が跳ね上がった。 上体を起こしざま、ミスティは脚を引き込みつつ、後輪を背部モジュールに畳み込んだ。 俺に見えたのはここまでだ。 轟音とともに巨大な砂煙が立ち上り、ミスティの姿を覆い隠す。 『きゃっ』 ティアの小さな叫びが耳に届く。 小さな瓦礫の破片が飛んできたようだ。 ふと。 俺の頭に閃く。危険、という言葉。 「ティア、右に避けろ!」 俺の叫びと同時、明るい緑色の剛腕が砂煙の山の頂から突き出され、そのまま砂煙を裂いて振り降ろされた。 スピードを落としてはいたが、ティアは高速域にいた。 通常なら速度を落とさなければ回避動作が取れない。 しかし、スピードを落とせば避けきれない。 絶妙のタイミング。 だが、ティアは両脚のランドスピナーを鮮やかに操ると、スピードを制御したまま直角に右にターンした。 凶悪な爪がティアをかすめ、乾いた地面をえぐり取る。 からくも逃がれたティアに、ミスティは追撃の手をゆるめない。 ミスティの外側に逃げたティアに向け、副腕の影から手持ちのマシンガンを放つ。 ティアの轍を追跡する弾痕。 しかし、ティアは地を蹴り、通りに面する廃ビルの壁に着地、そのまま疾走した。 ミスティには予想外の機動だったらしく、銃弾は壁を穿つことなく、地面に着弾する。 ティアは壁を走りながら、ミスティを撃った。 「くっ」 左副腕の付け根付近に命中。 ミスティ本体へのダメージは軽微だが、瞬時ひるみ、攻撃が緩んだ。 その一瞬を使って、ティアは路地の陰に飛び込んだ。 ◆ 「やるわね……ミスティの『リバーサル・スクラッチ』をかわすなんて」 『攻撃もすごいわ。壁を走りながらの射撃……あの子、わたしを見てなかった』 「ほんとに? あの軽装で、ロクなレーダーも積んでいなさそうなのに」 『リバーサルをかわして、壁を走って、見ないで攻撃を当てる……そこらにいる神姫じゃないわ』 「面白いわね」 『うん、面白い』 「それじゃあ、私たちも、魅せましょうか」 『そうね、教えてあげましょう。エトランゼの異名が伊達じゃないってこと』 ■ 「あ、あぶなかった……!」 マスターの言いつけ通り、決して油断はしていなかった。 だけど、ミスティさんの攻撃に自ら当たりに行くようなタイミングだった。 マスターが避けろと言ってくれなかったら、わたしはあの大きな爪の餌食になって、勝敗は決していただろう。 薄暗い路地を疾走する。 今の攻撃を思い出すと、当たらなかったことが不思議で、恐怖に身がすくむ。 その恐怖を振り払うように走る、走る。 『落ち着け。かすり傷さえ負っていないんだ』 マスターの声が、わたしの耳に直接響く。 試合の最中、マスターはヘッドセットからわたしに指示を送る。 外からモバイルPCでモニターしてくれているマスターには、わたしの動揺が手に取るようにわかるのだろう。 でも、今の一言で、わたしの中の焦りが嘘のように引いていった。 わたしは闇雲に走るのをやめ、メインストリートを伺いながら路地を巡航する。 『ティア、何か気付いたことはなかったか?』 マスターの言葉に、なにかが頭の片隅にひっかかった。 「そ、そういえば……」 『何だ』 「あ、でも、その……」 『いいから話せ。時間がない』 「その、ミスティさんの副腕、ひとりでに動いてるみたいに見えて……」 『副腕は普通、独立で……って、本当か?』 「は、はっきりとは……きのせい、かもしれません……」 マスターが一瞬おし黙る。 いま、マスターの頭の中では思考がフル回転しているはずだった。 でもすぐに次の言葉が来た。 『だったら、相手はメインストリートにいない……警戒しろ、攻撃が来るぞ』 「は、はい」 マスターは今の会話から、なにを読みとったのだろう? わたしが感じた違和感は、ミスティさんがあの大きな攻撃を仕掛けてきたとき。 彼女は、振り降ろす副腕のレバーを握っていなかった……と思う。 わたしのうさ耳状になったセンサーが、相手の位置を察知する。 そこは……! 「上だ!」 マスターの叫びより早く、わたしはホイールにブレーキをかけ、膝をたわませる。 そして、前に進もうとする力を膝に貯めて、後方に跳ねた。 そこへ、緑と黒の巨大な影が落ちてきた! 間一髪、落ちてきた影との激突を免れ、片手を地に着くと、反動を利用してさらに跳ね、距離を取る。 はたして、緑と黒の影はミスティさんだった。 彼女はすでにマシンガンを構えている。 発砲。 わたしはホイールを逆に回し、後進する。 ミスティさんの火線は、わたしの足下から左側へと引かれていく。 わたしはまた膝を曲げると、今度は小さく前に跳ねた。 狭い路地、右側の壁に乗り、走り出す。 ミスティさんも前に出た。 緑色の副腕が振り上げられる。 今度こそ、見た。間違いない。 あの副腕は、イーダ・タイプのものにもかかわらず、独立して動いている! 巨大な副腕に装着された凶悪な爪が、壁をえぐりながら突き進んでくる。 わたしは壁を蹴って、爪をかわす。ミスティさんの射線をかいくぐり、壁から壁へと飛びうつる。 □ ティアの言葉は正しかった。 イーダの副腕「エアロ・チャクラム」は、トライクへの変形機構のため、単独では動かない。 神姫本体がレバーを握り、副腕を操る必要がある。 副腕と言うよりも、腕に追従するパワーアームと言うべきかも知れない。 しかし、ミスティのエアロ・チャクラムは独立して動く。カスタムパーツを仕込んであるのだろう。 そうなると、ミスティはある神姫のタイプと酷似する。 「ティア、いまのミスティはストラーフ・タイプだ」 そう、武装神姫初期の傑作にして、いまだに人気の高い悪魔型。いまのトライク形態でないミスティは、まさにストラーフだった。 『三次元機動が得意なのは、あなただけじゃないわ!』 ミスティはティアを追撃する。 壁から壁へ、ビルからビルへ。 廃墟の街を縦横無尽に飛び回る二体の神姫は、まるで二重螺旋のように絡み合いながら戦い続ける。 ■ マスターのアドバイスのおかげで、わたしはミスティさんへの認識を切り替えることができた。 目の前にいるこの神姫はストラーフ・タイプ。 そう思ってみれば、戦い方もストラーフにそっくりだった。 でも、ミスティさんの戦い方は、熟達したストラーフのそれだった。かつて戦ったストラーフの中でも、これほどの実力者はいない。 上下左右の壁を蹴り、走り、攻撃を仕掛けるけれど、わたしの動きにことごとくついてくる。 隙を見せれば、副腕がわたしを狙い、銃撃がかすめる。 一瞬たりとも気の抜けない近距離戦闘。 お互いの動きを読み、自分の動きを合わせ、相手の動きを見切る。 まるで、ダンスのステップを踏んでいるかのよう。 わたしとミスティさんは、砂塵舞う廃墟の中で、踊るように、舞うように、戦い続ける。 □ いつのまにか観客の笑い声は聞こえなくなっていた。 ミスティの戦いぶりを見れば、笑いを誘った装備が伊達ではないことが分かる。 そしてミスティの実力は、並の純正ストラーフを凌駕していた。 もはや黙るしかない。 俺は筐体の向こうの少女を見た。 真剣な眼差しで、神姫の戦いぶりを見ている。 唇には不敵な笑みを浮かべたまま。 観客の反応など全く意に介していない。 エトランゼと呼ばれるこの神姫プレイヤーは、知らない場所でバトルする度に、こうして実力で観客たちを黙らせてきたのだろう。 俺は椅子に座り直す。 願ってもない実力者とのバトルだ。 今のティアと俺の実力を試す絶好の機会だった。全力で勝ちに行く。 ◆ 『ねえ、今日のわたし、どこかおかしい!?』 「いつになく絶好調だけど?」 『じゃあ、なんでわたしの攻撃が当たらないの!?』 「うまいタイミングで機動をずらされたり、反撃されて攻撃を押さえられたりしてるわね……神姫の判断? マスターの指示かしら」 『平然と評価している場合? こっちの方が劣勢なんだからね!』 「それじゃあ、仕切直しましょ」 ■ 巨大な両腕を叩きつけ、追撃の銃撃がわたしの足下を削ると、ミスティさんはここで距離を取った。 いまのは牽制か。 いままではもつれ合うように、息つく暇もないバトルを繰り広げていた。 ここであえて距離をあけるのは何かの策か、それとも……。 逡巡しているうちに、ミスティさんはさらに後方へと跳び、廃墟のビルを越えて姿を消した。 どうしよう? 追うべきだろうか? わたしはビルの上に立ち、体勢を整えると、耳を澄ませた。 遙か彼方にホイール音が聞こえる。 ミスティさんは、またトライクに変形したみたいだ。 『ティア』 「マスター」 マスターから通信が来た。 私が迷うとき、必ずマスターが指示をくれる。 だからわたしは立ち止まることなく、走ることができる。 『とりあえず最初と同じ、路地を抜けてミスティを追跡だ』 「はい」 『そして、俺が合図したタイミングで飛び出して仕掛けろ』 「はい」 『決めにいくぞ』 「はいっ!」 マスターには必勝の策があるみたいだ。 あのミスティさんに勝つ策なんて、わたしには考えも及ばないけれど。 マスターの考えを、わたしが体現できれば、必ず勝つことができる。 だって、マスターは、決めにいく、と断言したのだから。 わたしは走り出す。 ミスティさんを追って、細い路地を駆け抜ける。 □ ミスティを伺う間に、ティアに細かく指示を出した。 ミスティは待ちの体勢で、メインストリートをただ走り続けている。 おそらく、自ら討って出てくることはするまい。ティアが仕掛けてくるのを待っている。 ならばお望み通り、こちらから仕掛けるとしよう。 次の攻撃が勝負だ。 ミスティがメインストリートを折り返した。 速度を落としてぐるりとU字に回り込み、再びメインストリートに向けて加速をする。 ここだ。 「ティア、いまだ!」 『はいっ』 合図とともに、俺はサイドボードを操作。 ティアの手の中に、大型のハンドガンを送り込む。 ティアはストリートに躍り出た。 『ティア!?』 ミスティが思わず声を上げている。 トライク形態での巡航の際は、背後から攻めるのがセオリーだ。 火力で劣るティアが、まさか真っ正面から来るとは思わなかったのだろう。 ティアはミスティと向かい合った。 二人とも走りながら。 ティアはミスティの速度に合わせ、後ろ向きに走っているのだ。 つかず離れずの位置をキープし、二人は疾駆する。 トライク形態のミスティの上部に据えられた、二門の「アサルトカービン・エクステンド」が火を噴いた。 真正面ならば遠慮するつもりはない、とばかりに、盛大に弾丸をまき散らす。 ティアはかわす。 後ろ向きに走りながら、ミスティを見据えたままで。 その雨霰と降り注ぐ銃弾のことごとくを、流れるようなステップでかわしてみせる。 『くっ』 ミスティが逡巡した一瞬、銃弾が途切れたその瞬間をティアは見逃さなかった。 手にした銃はブラスター。エネルギー弾を打ち出すハンドガンである。 反動があるので連射はしずらいが、一撃の破壊力が高い。 ティアは踊るように身を翻し、三連射した。 銃を水平に向け、反動を上に逃がすのではなく、横に逃がし、舞踏のような回転で反動を吸収、すぐに次の斉射を可能にする。 ティアの装備と技術だからこそ可能な射撃だった。 はたして、ティアのはなったエネルギー弾は、右副腕の肩口とミスティのヘルメットの右側面に命中した。 『こっ……のおおおおおぉぉ!!』 ミスティは止まるどころか、加速しながら突っ込んできた。 ティアも後ろ向きで加速する。 ミスティが闇雲にアサルトカービンをぶっ放すが、ティアには当たらない。 ティアは反撃とばかりにブラスターを撃つ。 ミスティをかすめる。 ティアがブラスターを投げ捨てた。 「いまよ!」 『おおおっ!』 マスターの声を合図に、ミスティが前輪をロックする。 車体の後方が前のめりに突っ込む。 サスペンションが沈み込む。 ミスティのストラーフ形態への変形パターンだ。 極限まで押し込まれたバネが反発し、ミスティの体を押し上げる。 右副腕が根本から砕ける。 『ええええぇぇっ!!?』 一瞬にして支えを失ったミスティは、勢い余って、地面につんのめるように激突した。 ミスティの体が路面に激しくこすりつけられる。右の副腕が吹き飛ぶ。焼け焦げたバイザーが破砕する。 それでもミスティは、残る副腕と脚部パーツを突っ張らせて勢いを殺し、ようやくに停止した。 しかし、これは隙。 俺はティアに向けてマシンガンを送り込む。 「撃て」 俺の指示から、間髪入れずに、ティアは引き金を絞った。 相手は至近距離で動きを止めている。 はずすはずのない攻撃。 だが、今度は俺が驚く番だった。 「なにっ!?」 ミスティは一挙動で起きあがると、すぐさまティアに背中を向けた。 必中の銃弾は、ミスティの装備に着弾する。 ウイングが吹き飛び、後輪が炸裂する。 そして、ティアの銃撃を受けながら、ミスティはバックジャンプする。ティアに向けて。 そして、背中の装備をパージした。 『わ、わわっ』 あわててティアがホイールを滑らせる。その拍子にマシンガンを落とした。 大きな動きでミスティのはなった「爆撃」をかわし、大きく回り込む。 轟音を立てて、ミスティの背部モジュールが地に落ちた。 ティアが安堵の吐息をつき、再びストリートに視線を向けた。 その視線の先。 副腕をなくしたミスティが立っていた。 ■ 背部の装備をなくしたミスティさんは、それでも気負った様子は見られなかった。 右手にオリジナル装備のマシンガン、左手にイーダ装備の太刀「エアロ・ヴァジュラ」。 両脚のサバーカはいまだに健在である。 ミスティさんは左手の刀を地面に突き刺すと、右半分が壊れたバイザーを脱ぎ捨てた。 ストリートに乾いた音が響く。 「同じね、これで」 呟くようにミスティさんが言う。 「脚部強化パーツだけの軽量装備……ここまでおいつめられたのは、ティア、あなたが初めてよ?」 穏やかな口調だが、いまだに闘志を宿した強い眼差し。 先ほどの言葉の応えとして、 「こ、光栄です……」 というのは的外れだっただろうか。 ミスティさんとは距離を置いて向かい合っている。 幅の広いメインストリートの中央、遮るものは何もない。 次の攻撃はお互いに小細工なし、必中の一撃を狙うだろう。 わたしはマシンガンを落としてしまっている。 手元の武器はない。 マスターが送り込んでくれるのを待つ。 と、ミスティさんがマシンガンを一瞥すると、なんとそれをバイザー同様投げ捨てた。 そして改めて、刀を構え直した。 なぜそんなことをするのか。 理由は一つ。 ミスティさんは……真っ向勝負、正々堂々の決着を望んでいる……。 □ ミスティの行動は不可解きわまりない。 いまのティアは何も武器を持っていない。 マシンガンを使えば、ティアの動きをある程度封じつつ、先手を取って、戦闘を有利に進めることもできたはずだ。 しかし、ミスティは銃を捨て、刀を構えた。 これは誘いか。あるいは、よほどに近接戦闘に自信があるのか。 敵の不可解な行動は、むしろこちらにはチャンスだった。 俺は当然、ティアの手に銃を送り込もうと、サイドボードに指を伸ばしたのだが……。 『マスター』 「なんだ?」 『コンバットナイフをください……お願いです……』 と、こうきた。 珍しくティアが武装を要求してきたと思ったら、近接武器で真っ向勝負とは。 こちらの有利をけっとばして、敵の誘いに乗り、わざわざ五分以下の状況を望んでいる。 俺は少し呆れながら、ふと、筐体の向こう側をみやった。 目が合う。 ミスティのマスターは肩をすくめ、苦笑した。 どうやら、ミスティも、勝手に刀で勝負を挑んでいるらしい。 ならば誘いでも何でもない。 ミスティは正々堂々の勝負を挑んできているのだ。 そして、ティアはそれに応えようとしている。 勝ち負けにこだわるなら、迷わずサイドボードから銃を選べばいい。 だが、俺はあえて、ティアの望み通り近接武器を選択した。 あのティアが、俺に武装を要求してくるなど、滅多にないことだ。いや、初めてかも知れない。 こんな希有な出来事の価値に比べれば、この試合の勝ち負けなど、どれほどのこともないのだ。 まあ、俺自身、こういう熱い展開が嫌いではないのだが。 コンバットナイフを手にしたティアは、うっすらと微笑んだ。 それを見て、ミスティが凄みをたたえて微笑んだ。 『ティア、やっぱりあなたって最高』 そして、刀を肩口から突き出すように構え直した。 『久住菜々子が武装神姫、ミスティ! 推して参る!』 俺はこのとき初めて、筐体の向こうにいる少女の名前を知った。 『遠野貴樹が神姫、ティア! いざ尋常に勝負!』 可愛い声と口上の内容が非常にアンバランスだ。 俺も肩をすくめて苦笑する。 こうなったらもう、作戦も何もない。 神姫の地力で勝負が決まる。 マスターが入り込む余地などもうないのだった。 だが、これはこれで、見逃せない展開ではある。 高まりゆく緊張感に、俺は無意識のうちに拳を握りしめていた。 二人の神姫は、構えたまま動かない。 二人の間合いはとても刃の届く距離ではない。 だが、そこは脚部を強化した神姫だけに、動き出せば一足飛びに間合いに入る。 緊張が張りつめている。 バーチャル空間の緊張が現出したかのように、観客たちも水を打ったように静かだった。 二人の緊張を破ったのも、やはり吹き続けている風だった。 砂塵が巻く。 お互いを覆い隠すほどの砂煙が二人の間を吹き抜ける。 動く。 二人の神姫は一瞬で被我の距離を埋める。 斬り裂かれる砂のカーテン。 砂の幕が霧散し、お互いの姿が立ち現れた瞬間、二人は斬り結んだ。 ミスティは突き。武器のリーチを生かして先手を取る。 ティアは構えたまま、速度をゆるめずに突進。 交差。 二つの影が飛び抜けて、静止する。 ミスティは突きの姿勢で、腕を伸ばし、刀を突き出したまま。 ティアは、ナイフを振り抜いた姿勢で、膝をついている。 はたして、ティアの振り抜いた右手にナイフはなかった。 それは、ミスティの胸元に突き立っていた。 「ティア……」 ミスティのつぶやき。 名を呼ばれた神姫はゆっくりと立ち上がる。 風が吹いた。 ミスティがポリゴンの欠片になって、砂塵に溶けてゆく。 ティアは振り向きもせずに、ただ虚空を見つめたまま立ち尽くしている。 やがて、ミスティが風に散らされて消えた頃、ジャッジAIが勝敗を決した。 『WINNER:ティア』 次へ> トップページに戻る